A Monster's Expedition

友達作るのって大変

A Monster's Expedition

Steam

ゲームのコアとなる丸太の挙動は、丸太の状態(立っているか横たわっているか)、押す向き(側面か底面か)、高さ(プレイヤーより高いか低いか)で変わってくる(たぶん)、そしてそれに加えて丸太同士が衝突したときの挙動も関わってくる。丸太同士の衝突も同様にそれぞれの状態、向き、高さでそれぞれ挙動が違う。勘弁してくれ。

こうした丸太の挙動を徐々にプレイヤーは学んでいくことになる。個人的にパズルゲームではこの新しい知識を得るタイミングこそ、できることが増える期待とともに、今後の難易度上昇や自分に使いこなせるかどうかを想像して緊張が増す、印象的なポイントだと思っている。

このゲームでは知識を得ていく過程が、オープンワールドのように様々なパスをプレイヤーが選んで進めるようになっているにも関わらず、同時にパズルゲームとしての適切なバランス調整もされている。

新バイオームでは常に何らかの新しい知識が導入されるが、複合的で理解の難しい知識(丸太同士の衝突など)が得られるバイオームはゲーム後半(スタート地点から遠い場所)で見つかる。それだけでなく偶然知識を発見したプレイヤーのための分岐も序盤から随所に用意されている。このようなオープンワールド的なバランス調整がなされている一方で、各バイオームでは新たな知識を獲得するためのチュートリアル面から始まり徐々に難易度が高くなっていく、構造化されたパズルゲームのバランスを保っている。

このようなバランス調整の結果、新たな知識をまるで自分で探索して発見したかのように錯覚するともに、その知識を習熟する過程でも過剰な行き詰まりを感じることなく進めることができる。

さらにマップ全体でこのバランスを崩すことなく、複数のバイオームや面同士をまたいだパズルも大量にデザインされている。すごいね。

なんとなく動かしていたら偶然解答の数手前の状態になって急に答えがひらめくような感覚は、高難易度パズルゲームに共通のものだと思っていて、そういう面が大量にあり、しかもそれぞれの面でそこまで時間かからずその状態に至れる。すごくない?

スタッフロール(帰りの船に辿り着く)まではこちらに都合が良すぎる条件で気持ちよくしてもらってるような、まるでポルノのようとか下世話なことは言いたくないんだけど、そんな風にも感じた。あんまりこれに溺れると良くないんじゃないの?とまで思っちゃう。どうしてこのゲームはこんなに都合よく解答が思いつくようにできているのかを理解していないと、この手法を使って人類が操作されてしまうんじゃないか。備えなくては。

解答が思いつきやすいのは単純に各島が小さくて一つの閃きさえあれば解けるようになっているという理由もあるけど、適当に動かすだけですぐ解けちゃうなんでもないようなシンプル過ぎる島もたくさんあって、そういうところでスイスイ解けて、順調に進捗しているという感覚がブーストされているのかもしれない。

あと、丸太の挙動は思ったより複雑でたくさんの隠しルールがあるので、同じような解法の面がたくさんあることで体感的にルールを学習する役にも立っていたと思う。特に丸太一本でできた橋から別の丸太を押すときや、一段高い足場に置かれた丸太を押すときなどは、一回体験しただけでは正直挙動を理解できていなかったから助けになった。

一般的にはミニマルなパズルゲームで水増しのような面がたくさんあると怠くなっちゃうのが普通なんだけど、このゲームだと探索要素があったり、それなしでも十分な数の複雑な面があることが相まって、良い感じに機能していた気がする。

  • 友達(雪だるま)全コンプしました。雪だるまを全員見つけたときにしかみられない踊りを見ることができて良かった。ゲーム内のヒントやガイドもめちゃくちゃ見てしまったけど。答えまで見てしまったのはガイドで言う 10-1 の雪だるまで、しかも複数の島から丸太を再利用して雪だるまがいる諸島までくることはできたのに、雪だるまの一つ手前の島で完全に詰まってしまった。
    しかし、最初の方はどの島から雪だるまのいるところまで渡れるようになるのかを考えるのも楽しかったが、だんだんと苦痛というか、「この島とあの島からいけるのか?いや、ここじゃないか?やっぱりこの島なのか?」みたいなのを無限に繰り返すうちにこんなの一生かかっても終わんないぞという気分になってしまった。大抵は最寄りの島からいけるようになってはいるんだけど、複数の島を組み合わせて渡る必要があるので、候補が3,4島あるだけで爆発してしまう。
    べつにそんな早くクリアする必要なんてないんだし、一生かかるならそんだけかけてやればいいじゃんってことなんだけど、自分はなにを焦っているんだろうな?
    やっぱりゲームって自分の人生の残り時間を使って、面白いか面白くないかを賭けるギャンブルみたいなもんだし、「ここまでやったらもう降りれない……」みたいな気分でずっと続けてる感じになるのが怖いんですよね。