Anthology of the Killer
なんで宇宙猿人ゴリが出てきたのか知ってる人いる?
なんか海外の深夜アニメを1シーズン見たかのような満足感があった。
Voice Of The Killer
Agile & Flexible は Chaotic と同義なんだということに気づいた。
ゲーム全体を通して、一見素朴に見えるんだけど統一感のあるデザインや、カメラやマップがめちゃくちゃな割に案外迷わないようにできていたりなど、細かい気配りが随所にあるような作りをしている。こんな誰も見てないような配信までチェックしてコメントを残していただくようなマメさがあるのにも納得できる。いや、本当に開発者本人かはまだわかってないけど、こういうのも騙りとかあるの?
BB もこの時点ではまだスルースキルMAXのホラゲ主人公のパロディキャラっぽい感じで、ホラーそのものではなくちょっと離れたところから見て茶化しているような雰囲気もありつつ、毛が生えた砂浜のレストランで生の舌を食べる夢などしっかりとした怪奇描写も出てきたり、奇妙な二面性のようなものがある。なんかこういうのは由緒正しいフリーゲームのノリっぽい感じがある。
このホラーとコメディの両立部分はインタビューでも触れられていて、作者自身がゲームをちょっと離れたところから見ていることから、そこまでゲームの世界にのめりこまなくても楽しめるように意識している一方、それでも「a game that's just for me!」と思わせるような印象を与えたいという色気もある、という回答にすごくしっくりきた。作者の言葉を借りてこういうこと言うのはちょっと恥ずかしいんだけど、自分のゲームをやってるスタンスも似たようなところがあるからこんなにも雰囲気にハマったのかもしれない。
Hands Of The Killer
30から40年前くらいのものが「十分に死の匂いがするほど古く」て、ちょうどなつかしさを感じるのはそうかもしれない。
広めのマップを追いかけっこするのは割とホラゲーっぽさがある。追いかけっこの時の音楽が普通にかっこ良かったりなんなら落ち着いた雰囲気だったりすることもあって、なんかそういうのもありなんだと思った。
印象的には静かな話だったけど、なんか始祖の殺人鬼っぽいものが初出だったり、この街の歴史みたいなのにも触れられていたりプロット的には重要な話なのかもしれない。
ところで、前の話で出てきた「警察と話してはいけない」というルールや今話での New Wave など、こういう後の話で雑に回収されるどうでもいい伏線は好き。
Droll Of The Killer
しっかりしたびっくり要素があって普通に怖がっていた。最後のあまりにあほらしすぎるオチもあって割と好きな話かもしれない。
チラシにでっかくオーナーが死んだ年が載ってるのもなんか笑ってしまった。
脳を食べるアメーバの記事 見たけど写真が怖すぎる。
Eyes Of The Killer
劇場シーン(?)のあるあるネタとか皮肉みたいなのがあるのかもしれないけど、劇場とか行ったことないからあまりわからなかった。結局『ラ・ラ・ランド』や『セッション』も観れていないし。なんか読書やゲームはできるけど、映画やドラマ、アニメが全然観てられなくなってきてる。なんで?いや、もともと観れてなかった気もする。シンプルに長時間同じところに座っているのが苦手な子供だったし、今もそのままかもしれない。
この辺は作者のバックグラウンドが関係しているんだろうか?それとも一般教養としてみんな劇場に行ったりしてるの?なんか『ある島の可能性』でも中産階級の小金持ちが劇場に来ることについて腐したような記述があった気がするけど何も思い出せないし、そんなものなかったかもしれない。
一回だけ一人で小さいライブハウス兼劇場みたいなとこ行ったことあるけど、なんか悪酔いして途中で気持ち悪くなって退席したうえに外は土砂降りで傘も忘れてびしょ濡れになりながらションベンも漏らした記憶がある。それ以来ライブハウスや劇場に忌避感がある。しっかりしろ、ていうかションベン漏らしたのはマジで何?
あと、急に警察がめちゃくちゃ猟奇殺人してる現場に居合わせて、しかもなんの言い訳にもなってない言い訳を聞かされたのも面白かった。
Flesh Of The Killer
登場する殺人鬼の中では M.T. Lott が最後まで得体が知れなくて一番怖かった。結局人を喰うようになった理由もわからないし。何でそうなったか分からないで言えば出てくる殺人鬼全員そうか。
「Moral art」の意味がいまいちわかっておらず、ジョークを理解するのに時間がかかった。啓発ポスターとかに描かれているような絵のことなんだね。
「脱税はモラルの問題じゃなくて政治的問題」なのは冗談だけどなんか妙に気になっちゃった。消極的な民主主義社会の構成員である自分にとっては人や企業が脱税してるのを見ても「お前ばっかしズルい!」って感情が湧くのみで、それはたしかにケツの穴が小さいからだけかもしれない。
BBが自分そっくりな人間が描かれたモラルアートを見て、幸せな絵の中に戻りたくないという感情は、苦悩のままにいたいという深い欲望の表れかもしれない、と言ったのも面白かった。絶対もっと他の理由あるだろ。
あと、Claude が突然自分で自分のケツを叩いていたのも意味わかんなさ過ぎて笑った。単純にケツが出てくると自分は笑ってしまうのかもしれない。
Blood Of The Killer
ゲームを始めてから二時間が過ぎ英文を読む気力が失われてきてしまい、やっている間はほぼストーリーを理解できていなかったかもしれない。というか物語の舞台設定がどんどん複雑で荒唐無稽になってきて英文を訳してもなんもわからんくなってきている。
この辺りからあとで動画を見返して「へーそういう話だったんだね」ってなってる。
序盤の夢の描写とか照明がすごいかっこいい。この話に限ったことではないけど、どんどんこういう新しい表現とか技術が出てくるのはやってて楽しい。Junk store での Claris との追いかけっこで、下キー押すだけで逃げられるようになっていたり、なんかホスピタリティも進歩してる。あと、なぜか Claris を操作する場面もあったり。
"DON'T WORRY!! I'M A MURDERER!!" は Eyes Of The Killer の警察のジョークと同じような感じだけど、何回やられても笑ってしまう。こっちのセリフには一応「理由」があるけど。でも「理由」って Zine の供給を回復させるためのエージェントとして殺人者がこの街に派遣されているってことで良いの?2回見てもなんもわからない……
少し照れながら自分の zine の感想を気にする様子とか、改めて見るとこの辺りから BB に人がましさが表れ始めている。なんだか表情のバリエーションも増えてきている気がする。よく動いて表情が豊かだと大体なんでも可愛く見えてきてしまうんだよな。L.A. Noir の Phelps もそうだったし。
Claris が最後まで一つも意味わかんなかったのが面白かった。脳改造されたのかと思っていたけど。そういう意味では M.T.Lott 以上に怖かったかもしれないけど、ここまでハチャメチャだと痛快さみたいなものを感じる。
そういえば、「Drinky Bird Mark II」のプロトタイプが Hands Of The Killer から出てきた鳥の殺人者ってこと?
- 「essay about swordfighting a bear」の神学の独自研究みたいな文章は何か元ネタがあるのか。完全オリジナルだったらどうしよう。Infinite Consciousness の概念はあるらしいけど。激ヤバ陰謀論者の書いた「論文」の方はちゃんと読むと同じような意味の文が繰り返し出てきたり("the really true and the truly real history" とか)してたけど、こっちは一応意味は通ってるし。
- 新しい土地を訪れたときに、ここに自分が住んだらどうな感じなんだろうって想像するのは世界的なあるあるなんだ。いや、そういうタイプの人間は世界中どこにでもいるというだけのことか。
Ears Of The Killer
ホラーサーフというジャンル(?)があったのを思い出した。本当はそんなものなかったかもしれない。でも YouTube とかで 「horror surf」 で検索するとちゃんとヒットする。夢ではなかった。
当時、Shannon and the Clams の "Rip Van Winkle" とかをめちゃくちゃ聞いてたのを思い出した。今でも活動していてなんかうれしい。あと Zombie Ghost Train も名前が面白かったから覚えてる。
まあ、この話で出てくる「horror-themed surf」は全然関係ないかもしれないけど。1960年代に存在したシーンという設定らしいし。なんか Nurse With Wound が出したサーフレコードみたいって形容されてたし。
肉鳥を喰わされたおかげでノイズミュージックの才能が開花して、急に地元の地下音楽シーンでうけている場面に移行するのはゲーム通しても突拍子がなくて好き。
意識を取り戻したときにはすでにCDも出版してるし。
海に流れ着いていた死体はその地元のものにしちゃっていいんだろうか。死体をプレイヤーセレクトして聞ける生前の思い出は、ほぼジョークなしで語られるので、ゴシック小説の一篇みたいだった。
Weepster との追いかけっこは本当に突拍子なくて動画見返すまで覚えてなかった。ここまで急だと完全に記憶に残らなかったりするんだ。なんか海から来た知的生命体も出てくるし、いろいろありすぎて覚えてられなかった。
でも、「水死体」と「音楽」を New Wave や Surf でつなげたのは画期的なことなのかもしれない。
Heart Of The Killer
BB のキャラクターデベロップメントというか、モラトリアムな状態にあることがこの話の中で示唆され、「あ、そういうのもあるんだ」と思った。Ears Of The Killer で冗談めかして触れられた BB の人生設計について 次の Face Of The Killer も含めてテーマとしてつながってくるのはふつうに面白かった。
S Club 7 の聞かれてもない過去の恥ずかしい話や、Cha-Cha The Treefrog のくだりなど、結構あからさまにBBがかわいげを出してきている。狂った殺人者に追われながらも妙に冷静なコメンタリーを続ける変態ホラー愛好家以外の面が書かれ始めている。
Hands Of The Killer あたりからだけどなんか見た目ももっちりしてきてるし、色気が出てきている。その、あくまでキャラクターデザインとしての意味で。
こういう、最初は冗談で作られたようなキャラクターたちが、シリーズが続いていくにつれ次第に人間ドラマのようなことをしだす同人っぽいノリは正直好き(プロットや設定的には割と最初から用意されていたりするんだろうけど)。こういうのなんなんだろうね?なんか、冷めるって言う人もいそうだけど。この現象(?)にちょうどいい名前とかってもうついてたりしない?
他の話のサイコパスに比べて Marcie の自我もはっきりしているし、ラストシーンは自死を連想されるもの悲しい雰囲気や、それが極端な自己探求の結果であり、次話の BB の「自分探し(?)」へとつながっていて、この話が一番好きかもしれない。
Face Of The Killer
大学卒業したときって確かにいまいちテンション上がんないよなっていうのを思い出した。自分がとびぬけた才能を持っていることが証明される機会はついに訪れず、すくなくともこの後十年以上は労働の人生が待ち構えていることはみんなわかっているし、それでも友達の前では虚勢を張るのを止められない感じとか。
社会のバグのおかげで存在できているような、信じられないくらい終わってる仕事にBBが就職しているのは笑ったけど、こういう社会に出たときの「こんなはずじゃなかった」感を過剰なまでにカリカチュアライズしたネタに、いまだに結構ダメージ食らうなというのに気づいた。いやこれまでも気づいてはいたが、特に何もしてこなかったから。
めちゃくちゃになった世界でやけになった BB が BOSSO や The Killer に対して攻勢に出るようなシーンもあって、結局特に事態は好転せず、殺人者たちの思惑通り世界が生まれ変わったにしても、「やるだけのことはやった」感はある。
決断の正しさに結果は必ずしも付いてこないことを笑い飛ばしてくれるような。
異世界に行った主人公が他者と共有されることのない体験のみを得て元の世界(結構変わっちゃってるけど)に戻ってくるところは、児童向けファンタジーみたいななつかしさを感じた。そもそも、全体的に子供向けっぽい大らかな雰囲気があることにこのときやっと気づいた。
- 『Space Funeral』 の人が作ったということをこれをやった後知った。まだ 『Space Funeral』 もやったことないんだけど。
- なんで宇宙猿人ゴリが出てきたのか知ってる人いる?