Cape Hideous

沈没せん

Cape Hideous

Steam

こういう何と言ったらわからないようなゲームを自分が好きな理由って、なんというかストレスを感じる部分が少ないからなのかもしれない。たとえば、記号化されたキャラクターや絵や音楽、(含意された)作者の意見や人生観、カタストロフィ、そして閉じた結末、リトライによる反復要素、他プレイヤーとの協力、競争、そして Steam の実績や ARG のようなコミュニティ要素など。これらがめちゃくちゃ嫌いってわけではないし、こうした「ちょっと疲れる要素」を乗り越えてゲームをクリアしたときに達成感を覚えることもある。いや本当は達成感なんて感じたことない。ゲームでも人生でも。なんかいつも「だから何なんだ?」ってなってる。理由を具体的に考えたらヨナ・コンプレックスとか言われてるものと大体同じになるのかもしれないけど、昼間は人間のふりしてそういう恐怖を我慢しながらそれっぽいことをやってるのに、夜に一人でゲームをやってるときにもそんなもんを気にしたくないという思いがある。雑魚妖怪の悩みか?

このゲームは自分が生きる現実からは最も遠いけど、感覚的にはすごい近いところにある。それは自分もこの船の乗組員になりたいとかそういうことではなく、どちらかというとこの船上の生活について何もしらない完全な他人としての距離感に自分がいることが心地よい。自分の人生と、このゲームに出てくる人物が比較されるようなことは一つもないが、この人たちも生きている人間で、そして死ぬということはわかる。

実際、ボロボロの船で避けられない嵐に向かって進む状況ははっきりと死を意識させるし、その中でも平常心を保っていつも通りの対策や作業を行う姿はベタだけど人間味を感じる。こういう人間臭さと、どういう経緯で培ったかわからない絵のスタイルや没入感のある音作りが丁度よい距離感を生み出しているような気がする。

開発者の Jake Clover 氏は 2007 年くらいから個人開発で独創的なスタイルのフリーゲームを作っている方なので、2010年代前半のフリーゲームっぽい雰囲気を感じてなんとなくなじみ深さを感じたのかもしれない。