短めのゲーム(2025/07)
「インバーテッドエンジェルとダブルゼータガンダムって似てない?」←は?

Inverted Angel
ずっと「知らない女性」とのインターフォン越しでの会話のみで進み、他のキャラクターやシステムメッセージはほぼ登場しない。会話の中から気になったことを入力して彼女の「正体」を推測し、出来る限り理路整然とした「真相」を推理する。真相を推理するパートでは自然言語で解答を入力できる。判定にはOpenAIのEmbeddingモデルが使われおり、結構精度が高い。察しが良すぎて、正直わかってないけどとりあえずキーワードだけ入れたら正解と判定してくれることもあった。
「知らない女性」は雑談だけでなく推理ゲームとして機能するようにも話してくれるので、めちゃくちゃキャラに入り込んでくれるGMのような雰囲気がある。自分と一緒にゲームを楽しもうとしてくれる点からも、キャラクターに対する愛着が生まれていくのは面白かった。『Inscryption』のレシーとケイシーの関係を思い出した。こっちの「彼女」はずっとゲームをやり続けたいのではなく、「天使」になりたかったのかもしれないけど。
七色の真実を集めても「彼女」の本当の姿が現れることはない。ただし、どの真相にも至らずにいれば、「天使ではない」ことが未確定のままになる。モラトリアム的な状態にも聞こえるが、それだけではなく、全ての点と等しい重みのリンクを持った点、いわばオラクルのような概念を表現しようとしているのかもしれない。そうだとすると、それを媒介する「知らない女性」は天使と呼べるのかもしれない。無茶な解釈かもしれない。
Cuccchi
ゲームの雰囲気に合ってるかどうかはともかく音楽が良い。フルアルバム四枚くらいのボリュームのサウンドトラックを1000円くらいで買えるのも本当にいいの?って感じがする。
Enzo Cucchiの作品は油絵などアナログだけど、ゲーム中では低解像度のピクセル化された表現に落とし込まれている。そんなことして怒られない?とか思ったけど、案外しっくりくる感じになってる。ギャラリーを見ると縦横10cmにも満たない小さいキャンパスに描かれた作品もあるので、親和性の高さみたいなのを感じてそうしたのかもしれない。
制作者インタビュー見ると、ディレクターとEnzo氏の息子が幼なじみで、Enzo Cucchiの作品をビデオゲームの形式でアーカイブするためにこのゲームが作られたらしい。そういうのもあるんだ。
Enzo氏の息子、このゲームの作成を依頼した人間の文章によると、…to gamify the archive, like pac-man but with skulls
と開発チームに伝えたとある。この人のアイデアだったのか。
FACEMINER
これまでやってきたことは全部シミュレーションで、現実世界はもうとっくにやばくなってる、というエンドはたくさんある気がする。でも、そのシミュレーションの内容が、無数にある強化学習エージェントの一つだったというのは、ありそうであんまりないのかも。自分が知らないだけかも。しかし何をさせるためのAIを作ってるんだ。
放置ゲームとしては選択肢が少なく、設備のアップグレードに伴い増加する電気代や水道料金といったコストも言われているほど致命的な影響はない。読み上げられるメールやいくつかの資料からディストピアっぽい世界観に浸るのがメインの楽しみ方なのかも。
自分は何を目的に数字を増やしているのか、半ば強制的に考えさせられる。というか、メールの内容から選択肢を提示をされて、そのどれかを選ばなくてはいけない気分になる。不確実なリスクのために目の前の利益を手放すわけにはいかない、気取った金持ち連中に一泡吹かせてやりたい、あるいは、これはただそういうゲームだから、なのか。
極端に単純化された環境で学習したAIに対する科学的パロディかつ、矛盾ある現実を肯定するしかないときの人間の思考や行動をなぞらえているようでもあり、面白かった。
上に天井がある。
生活に甚大な影響が出る前に、専門家などの他者に頼らず、抑うつ状態から抜け出せたような感覚になったとき、具体的にどうやったかの説明は難しい。妄想の世界で、瓢々とした高身長イケメンと一緒に、ボロボロのフードをまとった殺人鬼と戦って勝ったので、としか言えないときもあるのかもしれない。
いや、本当にそんなことある?なんか、もっと重要な条件、環境、行動があったんじゃないの?何かを隠されている気がする。もし、本当にそんなことで解決するなら……という気持ちになってしまう。自分の価値観の問題だとは思うけど、現実的な手ごたえをこのゲームから感じるのが難しかった。
完全に解決することが難しい問題に対処するとき、あくまで今だけは状態が良いと自覚し、その状態をできる限り維持するのが自分は苦手だと感じる。その答えや手がかりを欲しがり過ぎているのかもしれない。
Cucina Stellata ✦ Starred Cuisine
自分のうんこと自分の肉、どっち食うのが嫌かって聞かれたらうんこ食う方が嫌な感じある。でもコイツは両方やってる。並のサイコではない。
サイコパスの美食家の庭に不時着してしまった不幸な宇宙人の話かもしれない。あるいは、自分の肉を喰わせることで精神をのっとる宇宙寄生生物のターゲットにされた人間の話なのかもしれない。最後に自分の体から吹き出した血が宇宙人の姿を形づくるのを見てなんかそう思った。