Felvidek
Pisshead のステッカーとかほしい
かなり粗雑でどこか抜けている人物達が織りなす割と無慈悲な陰謀と暴力の物語。
アル中でニヒルな軍人 Pavol と生真面目で物怖じしない聖職者 Matej のコンビが特命を受けて奇怪事件を捜査するバディ物として、歴史的背景に関する知識がなくても楽しめたし、この二人のやり取りがシンプルに面白かった。
現代的な感覚だったらちょっと引いちゃうくらい命が軽かったり色々といい加減だったりするのが、「中世だったらこんなもんかも」みたいになるので、なんか読んでて楽だった感じがある。楽というか気兼ねなく笑えるというか。
こういう cruel な世界の broken なおっさんの中にギリギリ残ってる人間性みたいなものが垣間見える瞬間はやっぱり救いみたいなものがある。そんなものを救いにしていてはいけないという話は分かるけどちょっと黙っていてほしい。こっちはマジで限界なんだから。
15世紀のスロバキアどころかヨーロッパについて何にも知らない癖になぜか、「このゲームが15世紀ごろに発売されたとしても普通に受けてそう」と思った。なんというか、それくらい説得力の強い雰囲気があった。
恥ずかしながらスロバキアについての知識がほぼゼロだったので、Wikipedia とかで調べてみたけど、このあたりの地域の歴史ってかなり複雑で一朝一夕では全然わからないということがわかった。
少なくともこのゲーム中の時代(1451年くらい)では今のスロバキアがある地域はハンガリー王国の一部だったらしい。だから、主人公はハンガリーとオスマン帝国の戦争(コソヴォ戦争)に従軍していたらしい。
このオスマン帝国との戦いでフス派が重要な役割を果たしていたという前提を知らないと最後の Ottoman の話が理解しづらいのかもしれない。自分がプレイしたときには何も知りませんでした。
ゲーム中ではフス派がめちゃくちゃ嫌われ者として扱われていたが、このような感覚的な話は(当たり前だけど)Wikipedia レベルの記述からは伝わってこなかったので、創作内での典型的扱いみたいなのが観れたのはちょっと面白かった。スロバキアの歴史物語を何もしらないからこのゲームでの描かれ方が典型的かは全然知らないし、いまだに残る差別的な偏見が表れているかもしれないから何も知らない分際で無邪気に面白がっていいものではないかもしれないけど(あるいはフス派をこのように描写することがジョークなのかもしれない)。
- 現代における中世ヨーロッパの暗黒自体的なイメージは、後世の創作により植え付けられたイメージだ、みたいな本が流行ったことがあったのを思い出した。でも実際このゲームは割と人間味のある描かれ方をされてたと思う。
- この時代はスロバキアの歴史におけるいわゆる「大トロ」の部分なんだろうか。なんか日本で言う幕末とか戦国時代みたいな。