風ノ旅ビト
陸の昆布
なんかいろいろ起きて楽しかった。プレイ時間1時間45分というとすごく短いゲームだけど、体感時間と比べるとそれでも短く感じるほどの密度だった。
こういう雰囲気重視というか、Art game みたいなジャンルって、より伝統的な技術や知識が積み重ねられている絵や音楽に特化していて、それに対してゲームとして実際に操作してみた感じは、もっと言い方あるだろうけど、ゼルダの最初の方のダンジョンの謎解きだけをやらされてるような印象が正直ある。レベルデザインの広さや複雑さは、開発規模が大きくなければ実現しづらいから当然のことではあるんだろうけど。そう考えると『Ctrl Alt Ego』も、個人開発でこの密度、ボリュームのマップを作れるんだって感動したけど、構造や見た目の現実味を徹底的に削っていたから実現できてたんだなと思った。風ノ旅ビトのリードデザイナー(Jenova Chen氏)のインタビュー でちょっとキレ気味に「Journey を Uncharted と同じ規模で作ってたら、キャラクターに手指が生えて、砂ももっとリアルになるだろう」と言っていたのを読んでそう思った。
つまり、小規模開発の全年齢向けのゲームは、Triple-A ゲームの要素を省略形にすることで敷居を下げているだけのように見えてしまうことがあって、それがちょっと苦手というか、なんのためにやってるのかわからなくなることがある。どのように省略するのかというのも当然簡単なことではないんだろうけど。
対してこのゲームは、これは完全に勘なんだけど、他のゲームから何かを省略したというより、『Flower』の徹底的に簡略化されたゲームプレイにそれこそ足が生えたような、出発点がそもそも異なるような印象を受けた。
そして、この簡単だがある意味融通のきかない操作感は、単に敷居を下げるだけでなく、プレイヤースキルの差を生み出しづらいはたらきも持っていて、それがオンラインランダムマッチでの協力プレイで生じる責任感や劣等感を軽くしてくれていた気がする。
見た目や音楽だけではない様々な要素がかみ合っていることが、このゲームが唯一なものとして今でも評価されているというか、いまだに遊んでいる人たちがいる理由なんじゃないかなと思った。
でも、正直もう発売から10年以上経ったゲームだししょうがないけど、今回マッチした方は全員既プレイというか、明らかに「あ、もう道知ってんな」という動きをされていて、どっちも何したらいいか全然わからんという感じで遊ぶのはもう難しいのかもしれない。
とはいえ、このなんかキャリーされてる感じも含めて面白い体験だった。特に、遺跡の地下で相手が明らかに何かを警戒している動きをし始めて、自分からはまだ何の脅威も見えていなかったけどなんかやばそうだからと端っこを進んでいるときは、どんな演出より説得力のある恐怖を感じた。
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