Inscryption
モリンフェンは闇属性・悪魔族のモンスター
TCGには苦手意識があり、なぜかというと小学校低学年くらいのころに児童館で(児童館って書くだけですごい懐かしい気持ちになった。実際児童館って全国的なもんなの?自分の地元だけ?今児童館に行ったらちょっとやばいくらい懐かしくなりそう)、年長者と遊戯王の対戦をさせられて謎の召喚とかの概念が出てきてよくわからないままモリンフェンにボコボコにされて以来、なんか難しくてめんどくさいゲームという印象がある。
このゲームを本編クリアまで遊ぶことでその苦手意識が解消……されることはなかった。いや、苦手なままでもクリアできるようになっているというか、対戦カードゲームの体はとっているけど実態はマップが極端に小さい戦略シミュレーションゲームやっているように感じた。
実際、TCGで一番自分がめんどくさいと感じるのは相手の戦略を読んで事前に対策するようなデッキを構築することなんだけど、このゲームではそれがずさんでも、というか実際ゲーム中に自分のデッキにどのカードが何枚入ってるかとかあんまり意識してなかったけど、ただ盤面と手札から最善っぽい手を選んでいけば対処できるようになっていた。まるでシンプルな論理パズルを解いているような面白さがあった。
基本的に5ダメージさえ先行すれば勝ててしまうのでどうしても「これって引きの運で勝ってるだけじゃないか?」と感じることはあったけど、運よくシナジーのある手札が来れば序盤から一気に高ダメージが出せてボス戦も一瞬で終わらせることができるので、そういう運ゲー要素も気持ちよさはある。
シナジーを生むようなデッキを組んでやりたい戦略をできるところまで自分は踏み込めなかった。そういうのやろうとすると、既存の強力なシナジーや戦略を調査し、それを試しながらちょっとずつ独自の改良を加えていくようなプロセスを踏むことになると思うんだけど、それはもうあれじゃん。仕事じゃん。
カードゲームを手段とした謎解きは面白かっただけに、Act I の山小屋以外ではあまり出てこなくなったのが(あったかもしれないが、本編というよりARG的な内容)すこし残念だったかもしれない。Act II 以降もよりしっかりしたカードゲームを遊ぶ必要があるのでちょっと気晴らしが欲しかった。Act I でフィルムを手に入れてからもう一度レシーを倒すまで変に時間がかかってしまい、カードゲームはもうこりごりみたいな気持ちになっていたのも原因かもしれない。
フィナーレで、今際のときまでゲームを続けようとするのはすごく人間的な逃避行動のようで、これが呪物的なディスク中に生まれた超自然的人格が行っていることで、特定のゲームに対する愛着がより普遍的なものであるかのような錯覚を覚え、現実的なシチュエーションよりも感傷的な気分になった。
こういう最期の瞬間に空元気で盛り上がるみたいなのは映画『ブリキの太鼓』で市街戦の真っ最中にトランプやってるシーン見て以来なんか好き。One Last Gameはこの部分だけを切り出したようなゲームだけど、これだけでもちょっとくるものがある。