Jusant

Jusant

Steam

本当に山を登るだけのゲームなのがなぜか意外だった。
カジュアルなアクションパズル要素のあるインディーゲームと聞くと、ポストアポカリプス的な世界で過去の文明に生きた人々に思いを馳せて、美しいながらも寂寞とした、もの悲しい雰囲気に感傷に浸りながら、ちょっとした段差や崖を登ったり、箱やスイッチを押したりしながら、一見広そうだけど案外行けるところはそう多くないマップを進んでいくものを想像するけど、そういうゲームとして一括りにしたくないと思うくらいに普通にアクション要素が面白かった。
そういうゲームって映像の美しさや演出の巧みさの割には、ゲームとしての難易度はそうでもないみたいなところがあって、なんというか、作品の世界観に対して多少なりとも没入感を増すために、ボタンを押してキャラクターを動かすという「ゲームっぽいこと」をしているだけかもな、と思うときがある。
その点で言うと Jusant のアクション要素もそれほど難しくはないんだけど、どこにも足場がないロッククライミングという状況が、ただの演出上の緊張感を超えた実感をもたらしていて、体感上の難易度を上昇させていたように感じた。実際、第5章の風が強い場面では、指が痛くなるくらい強くトリガーを押さえていたし。

演出上のこと以外にも、ハーケンを使ったロープワークによって崖登りの自由度が高くなっていて、スタミナ管理しながら掴めそうなところを探して登っていくという単純作業ではなく、戦略性が産まれている。ゲームのクライミング要素としては自分が遊んだ中で一番快適だし面白かった。
ハーケンは単なる保険として使われるだけではなくて、ウォールランの支点にしたり、ロープの長さに余裕があれば、一旦足場まで降りてスタミナゲージを回復したり、積極的な使い方もできる。こういうことをしているとき、自分はボルダリングもロッククライミングも何もわからないけど、なんかちょっと「こういうのってプロっぽいな」みたいに思ってた。現実ではハーケンはちゃんと登りながら二人目が回収しないといけないらしい。独りで登ってる時はどうするんだ?

第6章の塔が一番、考えながら登ってるなという感じがして面白かった。下手なところにハーケンを差し込むとロープの長さが足らなくなったり、ここにきて初めてルート取りの重要性を実感した。こういうのだけのアクションパズルゲームがあったらやってみたい。第6章以前でもウォールランをうまく使えば別ルートで登ることができたところもあったのかもしれないけど、割と急いで登ってしまったから見逃しているものがあるのかもしれない。

  • 祭壇を回して、水面っぽい模様が天井にプロジェクションされるのは、なんかチームラボとかのインスタレーションみたいというか、しっかりした資本を感じてしまった。宗教施設での資本の匂い感じるような演出装置に、近未来的なデザインの合同納骨堂みたいなのを思い出してしまった。別にいいんだけど。
  • 正直ちょっと体調が良くない時にやったから、なんか全然文字が頭に入ってこなくて主人公が誰だかまだわかっていない。最初の方のビアンカの手紙で出てきたメッテでいいんだろうか。