Kevin(1997-2077)

40代どうするのか

Kevin(1997-2077)

Steam

華麗に(あるいは、傷だらけで)人生を逃げ切った親戚のおじさんの遺品整理で出てきた謎のノートブックを見ているような、ある意味とてもリアルな暗号解読ゲームと言えるのかもしれない。ゲームというかもはや本物の佇まいすらある。

自分も今まさにちょっとずつピントがずれていっている真っ最中で、本物のネットのやばい人になりつつある。いやもうなっているかもしれないけど、こういうのはゆっくりと進行するのでどこかで閾値を超えてしまっていてもそれに気づいたときには後戻りできなくなっているんだろうな。

暗号を厳密に解読するというよりも、なんとなくこういうこと言ってんじゃないのかな、と推測するようなゲームで、文法や語彙についてのざっくりしたチュートリアルはあるが、一か所にしか出てこない単語(というか図?)も結構たくさんある。しかも特に答え合わせなどもないので本当に、Steam の説明ページに書いてある通りただ読むだけ。
こういうところには、プレイヤーが「実際に理解したか」よりも「理解しようとする姿勢」を評価したいという作者の意図が反映されていると思うし、それをゲームとして実装すると、答え合わせなどのゲームっぽい仕組みがかみ合わないというのは理解できる。
「それでゲームになってるの?」と言われると自分もわかんないんだけど、一般的なゲーム体験の快適さよりも「自分の意図としてはこっちのほうが合ってるし」というのを優先する感じは個人的には割と好きだったりする。

Earth-back side で Kevin が語っている内容では、このゲームについてや、友達や恋人、そして老いについて、すごくいろいろと考えているんだけど、その中でも生殖についてポジティブに捉えようとしているのがすごく今時だなと思った。消極的な反出生主義の実践者になってしまった身としてはどう捉えていいかはわからないけど。
まあ、これも自分の解釈だから、実際ほかの人間はどう考えているのかと思ってこのゲームの Discord サーバーを見てみようと思ったら招待リンクが期限切れしてるじゃん。

  • 一応エンディングらしきものは見た。条件は……誰もが一番最初に思いつくけどそれは勘弁してよってなるような……まあ、それだけ時間をかけて文字を読んだご褒美ということなのかもしれない。
  • このゲームが伝えたいことのざっくりとした内容は作者のインタビュー で語られてしまってはいる。今のところこのインタビューが一番の「答え合わせ」かもしれない。
  • Steam のレビューで QoL がよくないなどの理由で低評価レビューがつけられているのがちょっとかわいそうだった。自分は Domino Club 系のゲーム(そんな「系」があるのか?)として見てたけど、暗号解読パズルゲームだと思って買った人はなんだよってなるのもうなずける。実際、上のインタビューで語っていたプレイヤーに望むことについて、ゲーム中にそれを誘導したり示唆するような仕組みは見られなかったし、わかりづらいというのは妥当な評価だと思う。
    • なんでこんなゲームに日本語のレビューがいくつかついてるのか不思議だったけど電ファミニコゲーマーで紹介されてたんだ。
  • Kevin が数を数えているときにふつうにゲップしてるのになんか笑ってしまった。なんか体調悪いときに録ったりしたの?
  • Earth-back side のどこかに「40代はマジでどうなってるか全然想像つかない」みたいな文章があって、全くその通りだなと思った覚えがあるんだけど、後で見返したらそんな文章見当たらなかった。なんも読めてなかったかもしれない。