mundaun

ラジオの一個もあればいい

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Steam

手書きのテクスチャが醸しだす、不気味と愛嬌の間を行ったり来たりしてる雰囲気が、アルプスの牧歌的な風景と隔絶された異世界の両方の特性を表現していた気がする。

ホラーゲームなのに恐怖を煽る視覚的演出やジャンプスケアが少ないことも、その境界を曖昧なものにする一助になっていたんじゃないか。干し草の化け物の初登場時もなんかヌルっと出てくるし。山並みに見とれていたら、養蜂家の幽霊にしれっと蜂をけしかけられたり。なんかあまりにもシームレスに怪奇現象が表れるので、こういうのってアルプスでは普通なのかな?と思ってた。

やろうと思ったらもっと衝撃的にできたかもしれない部分が、意図的に「物足りなく」されているのも手作り感の演出なのかもしれない。そしてこの種の手作り感というものは時には不気味に見えるものなんだということを全編通して強く印象付けられた。

ホラーと謳っている作品が、豪華な演出に彩られ、完璧に作られていればいるほど、テーマパークのアトラクションのような作り物感をもってしまうことへの回避策として、DIY風だったり、ある種「稚拙な」演出を使うことでマジもんっぽく見せるのはよくある気がする。例えば、2000年代初頭の教育用PCソフトとか、ARGとか、PS1風のローポリグラフィックとかもそうなのかもしれない

自分はこの作品に昔の小説をそのままゲーム化したような雰囲気を感じて、まるで現代のホラーの文脈の外で作られたと思い込まされたように感じた。それが真実味を増す要因になっていて、こういう手段でそれっぽさを出す方法もあるんだと思った。『かまいたちの夜』とかもある意味そうなのかも。

  • なんとなく味気なさを感じた理由は、ストリーマーモードを有効にしていたせいでラジオがずっと無音だったせいかも