Myst
タワーローテーションを使うんだ
Myst 島の探索は最初から割と途方に暮れていた。書庫で本にとらわれたアクナーとシーラスに出会い、波止場近くの地下施設でアトラスからのホログラムの伝言を見つけて、順調な気がしていたのもつかの間、タワーローテーションが一体何のことなのか分からず、島を当てもなく徘徊し、最終的に最も総当たりしやすそうな謎解きを探していた。このときは、まだ金曜の夜だからとても落ち着いた気持ちで 0 から 724 まで金庫のダイアルを回すことができた。
Channelwood の木組みの橋桁が様々に枝分かれしている様を見て、Myst 島の書庫で読んだ似たような挿絵を思い出したが、スクリーンショットを見ても良くわからなかった。方角が分からないと全然地図が読めない。それでもポンプの謎解きは比較的すんなり解けて、一度Myst島に戻ったりもしたが、樹上の最上階にもそこまで詰まらずに辿り着いた。これでそれぞれの時代の本を見つけて移動して、赤と青のページを集めて戻ってくるという流れで進むことが分かった。にしても、アクナーとシーラスが第一印象から怪しすぎる。怪しすぎて逆に、この後のどこかでプロットの転換点があり、実は父親のアトラスが本当は一番の黒幕なのではないかと疑い始めていたけど、別にそういうことはなかった。
Myst 島に戻ったところで、また何のあてもない状態に逆戻りし、タワーローテーションについて真剣に向き合う必要があることに気づく。でも、実際は攻略サイトを見ました。もうなんにも思いつかなかった。書庫の地図上でダイヤルをいじっていると何かありそうな場所にスナップすること、それで実際の塔の向きも変わっていること、絵を調べると隠し通路からエレベーターに続くことにも気づいていたのに。塔が特定の施設に向いているときだけ、そのエレベーターが上階へ向かうことなんて少し考えればわかりそうなのに。
Mechanical 時代がある意味一番順調で楽しかった。特に、エレベーターのボタンを押して動き出すまでの猶予時間中に外に出ることで、施設全体を回転させる制御装置に辿り着く、これに気づけたときが一番楽しかった。このゲーム中で一番うれしかったかもしれない。
あと兄弟の部屋は相変わらず不穏だった。ところで、兄の部屋にあったコブラのびっくり箱で、なぜか「そういえばこれって昔のゲームなんだな」と強く思った。唐突でチャチなびっくり要素に子供のころに遊んだブラウザゲームをちょっと思い出した。それらよりもずっと昔のゲームだから、ある意味時代を先取りしていたのかもしれない。
この辺りから、Selenitic 時代までも比較的順調だった。Myst 島の時計塔に入った後に、歯車に書かれた3桁の番号を合わせるやつを除けば。3,3,3から始まる全パターンを書き出しても、普通に回転させていては2,2,1にはならないと気づいていたが、ボタンの長押しで中央の歯車だけ個別に動かすことができるというのは、なんか、そういうこともしてくるのかと意外だった。
Selenitic 時代の雰囲気や景色が一番好きだった。レイトレーシングの効果が一番出ていた気がする。ただ、実際はほとんどの時間を潜水艦で海底迷路に閉じ込められていた。途中でどこにいるか分からなくなったりもしたが、なんとか脱出できた。こういう迷路のマッピングをしているときって、楽しくも悲しくもない、この世で最もニュートラルな気持ちになっているかもしれない。
この時代はほぼ島が崩壊していたが、兄弟の部屋もどこかにあったんだろうか。
精神的に最も詰まったのが Stoneship 時代で、羅針図の正しいボタンを押す謎解きが全く分からなかった。総当たりの末、解くことができたが、土曜の午後5時ともなってくるとせっかくの休日に何をしているのかわからなくなり、泣きそうになった。なんかやばいかも。望遠鏡の向きと羅針図の向きを合わせなくちゃいけないとか変なことをずっと考えていた気がする。それでも総当たり中の半分より手前で答えが見つかったからよかった。
景色はよかった。でも夕陽のせいで余計泣きたくなったのかもしれない。
最後は兄弟の言う通り隠し部屋でスイッチを押し、兄弟を裏切って白いページをアトラスに渡してすんなり終わった。続きを匂わすようなエンディングだったが、兄弟ともしっかり焼かれたし、割とすっきりしたエンディングだった。
PCゲーム界隈では絶対に耳にするような有名なゲームだし、自分が好きなゲームやその開発者が影響を受けたとして良く挙げられているから、ずっとやりたいとは思っていた。それでもやっぱり昔のゲームだし今やると結構大変なんじゃないかという思いもあり少し敬遠していたが、System Shock のリメイクが面白かったこともあり、これもリメイクが出た契機にやろうと思っていた。
あと、めったにあることではないけど、配信中コメントで勧められたのもきっかけになった。「返校」のときもそうだったけど、こういうのがあると素直にありがたいと思う。
結果的にはいくつか詰まってしまう場面もあったけど、独特な謎解きと美しい世界観は十分楽しめたし、やれて良かった。
謎解きは特別難解というわけではないけど、全体的に同じような謎解きが無いように工夫されているから、どうしても人によっては思いつかないところが出てきて、結構詰まりやすいのかもしれない。
景色が良くて、独特な世界観を持っているというのはよく言われているけど、たしかに自分も印象的に感じた理由として、全体を通して謎解きのためのオブジェクトというのが一切強調されていないというのがあるのかもしれない。レバーやボタン等、操作できそうな見た目にはなっているものの、ゲーム全体でインタラクトできるオブジェクトの色や形が特に統一されていない。当然それは迷いやすくもなるということだから、いまどきのゲームデザイン的には良くないことなのかもしれないけど、逆にこれのおかげで今の時代に見ても特別な没入感を持っているんじゃないかと思った。特にこの辺の印象は3Dマップを比較的自由に歩けるリメイク版だから顕著だったけど、静止画と動画ベースのオリジナル版だとまた印象が異なるのかもしれない。