notes on the disappearance of a sister

政治家ってすごい

notes on the disappearance of a sister

itch.io

目が覚めるくらい面白かった。

これも Anti-Productivity jam の参加作品で、domino2 というマインドマップや情報整理用のツールを使って作成されている。

警察に解決不能として処理された姉の失踪事件を、妹が個人的に捜査した記録が公開され(itch.ioに?)、それを読んでいるという体裁になっている。手法としては、各ノートごとに、ニュースの切り抜き、独自の取材結果、その考察、および首を突っ込んできた妹の友達(Mati)との編集中のリアルタイムな会話文がまとめられている。

実際の各ノートの内容は、事件関係者とのミーティングでの会話文を書き下したものやモノローグが多いので、結局キャラクターの会話文(つまり、普通のノベルゲームのテキスト)を、吹き出しやダイアログボックスなどのよくある形式ではなく、domino2 のノートで読んでいるだけかもなと思っていた。しかし読み進めるうちに、それぞれのノートの順番や関連について意識しなくてはいけない場面が多くなった。つまり、次はどこを読めばいいのか、この名前が出てきた前のノートはどれだったか、など。これは、domino2 の形式を採用したことで、ノート間に順番が明示されないことによる効果なのではないかと思った(本当は domino2 には情報間の関連を明示的に表現するために線を描く機能もあるんだけど、それをあえて使っていないのも意図的なんじゃないかと思う)。

特に順番が曖昧になることで、物語の流れをつかむという行為が、ボタンを押したり、一方向にスクロールしたり、という受動的なものでなくなり、プレイヤーが自分で考える必要が生まれる。そのため、プレイしていて当然読みづらさを感じたが、同時に積極的に関与しているような感覚も生まれていった。

そして、自分からテキストの順番や関連を見出そうとしていると、自然と一か所明らかに不自然な部分が目につく。その部分に向かって読み進めるにつれ、自分自身を勝手に盛り上げていくような、そんな気持ちになっていた。そこからあの結末が待っているというのは衝撃的だし、なんかまんまとやられたような気がして面白かった。

自分でテキストの順序を整理することで物語への没入感が増すというのは、『未解決事件は終わらせないといけないから』と共通する感覚かもしれない。他にもこういうのなんかないかな。