Returnal
クリアできてうれしい
シューター+ローグライクという苦手と苦手の組み合わせで、楽しめるかずっと不安で手を出せないでいたけど、オータムセールで安くなってたから買ってしまった。
すごく当たり前のことを言ってるけど、死んだら最初からやり直しになるという大き目のお仕置きがついていることで、ボスやエリアに初めて辿り着いたときに自分がよくやっている「とりあえず今回は様子見するか」という選択を採りづらくなっている。このため、未知のリスクに遭遇したとき常に緊張感があり、それを突破したときの達成感も一入だった。つまり、こういうローグライクの楽しいところを自分のようなジャンル初心者でも体験できるくらいの難易度に調整してあるのがすごいところなのかも。
とはいえプレイ当初は結構精神的にきつくて、ボスまでは割と早く(といっても2時間半くらい)着いたけど、当然初見では全然歯が立たず、そこから再戦までどれくらい強化したらいいのかとかの感覚が全然つかめず、結局最初のボスを倒すまで6時間以上かかってしまった。
ボス戦は毎回パターンは同じだから何度かやれば倒せるような気がするけど、道中は敵と地形の組み合わせが毎回微妙に異なるせいもあって、どう考えて攻略するのかが全くつかめなていなかった。そのせいもあってこのときはまだ、道中は、比較的楽しいボス戦の前に立ちふさがっているだけの苦行であり、ローグライク要素はあまり楽しくない作業の繰り返し、という自分の印象はそのままだった。
ステージ2では勝手がわかってきたのもあり、割と楽しく、比較的少ない試行回数のうちに突破できた。全体的にステージ1に比べると開けてて明るいし雰囲気も良かった。
こういうローグライクのゲームって実はマップがそう広くないから、各ランせいぜい1,2時間で終わって平日の夜にちょっとやるのにちょうど良かったりするのかも、という何周遅れかわからない気づきをこのときはじめて実感していた。
とはいえ、ステージ2のボスを倒せたのはシールドを3つ張ってくれる寄生虫を偶然見つけたせいでもあり、なんかこういうゲームではないのでは?でもこういうギャンブル的な要素も起こるというのも良いところなのかも。
逆にステージ3はまっとうにエリアを探索してクリアした感じがある。体力も防御力も普段の2倍以上あり、初めて適切な難易度でやっている印象を受けた。ちゃんと強化して進めればボス戦も初見でなんとかなるくらいの難易度になっている。これまで自分はどれだけ雑に進めていたのか。この辺りから、序盤の不安定な強化フェーズを抜ければその後は割とサクサク進めることができることが分かってきた。ステージ1で死んだとしても、「まあそういうこともある」くらいの気持ちになったし、繰り返しの作業だと感じていたのも目的が見えていることで意味のある行為になっていった。
チャプター2(エリア4からエリア6まで)は割と駆け抜けていけた。ただ、一度深淵まで行ったときに、エリア内の敵にバリアを張る柱の存在を忘れていてしょうもない死に方をしたのは結構引きずった。この辺までくると強化がまだ進んでいない最初のエリアで死ぬことはあっても、そこを突破すれば割と何とかなるようになってきたからショックが大きかった。なんか、こんなにうまくいっていたのに、こんなことでまた最初からになるのか、次も同じことになったらもう立ち直れないぞみたいな。
ラスボスは、ここまで雑魚敵を処理してこれたなら問題なく倒せる程度の難易度だった。しかも、戦闘中に回復アイテムまで出してくれるし。ただ、チャプター1のボスのように地形そのものが変わったりみたいなギミックも特になく、正直印象が薄いのが玉に瑕かもしれない。直前で手に入れた恒久装備のバイザーを使ったギミックはあるんだけど、自分は自動追尾弾が出る武器を使っていたからギミックを理解しないまま半分くらいまでボスの体力を削ってしまっていた。
そもそもボス戦は全体的に割とやりやすかった。弾幕系の弾速は遅く、いくつかある速い弾も基本自機狙い(か偏差撃ち)で、たまに高速の範囲攻撃(レーザーなど)がそこに割り込まれるというパターンがある程度決まっているから初見でも対処しやすかった。特にネメシスとオフィオンといったチャプターボスだと、辿り着くころには十分ステータスが強化されているから余計楽に感じた。ここまでやってきて最初からってなるとプレイヤーが投げちゃうかもしれないみたいな考えで難易度調整されていたりもするのかも。
チャプター3もゲーム的にはオマケという感じだけど、ストーリーとしてはちゃんと最後に隠しエンディングがあって、しっかりしたカットシーンもあって満足した。この隠しエンディングを見る過程で3回ラスボスを倒すことになったけど、割とすんなりいってすごく上達を感じられてよかった。この2週目以降のプレイの楽しさを感じてもらうのが狙いなのかもしれない。
ストーリーの語られ方も結構変わってて面白かった。ここって本当は宇宙とかじゃなく主人公の精神世界を舞台にしたサイコロジカルホラーなのではないかという疑念が湧いてくる過程が面白く、特にゲーム中明らかに違和感のある「家」の存在により、バキバキのシューターアクションとその「家」の探索のギャップでより印象的になっていた。
このような、カットシーンだけではなく、ゲームプレイに組み込まれる形で主人公の過去や強迫観念について追体験する機会があると臨場感があって好き。Bioshock や Psychonauts もジャンルは違うけど、プレイヤーが操作に集中しているときにこういう演出が挟まれるというのは似ているし、ちょうど死角から殴られてる感じがして印象に残りやすいのかも。こういうのをナラティブっていうの?
それか単純に人の部屋とかを除くのが好きなのかもしれない。でも、合法的に覗ける機会があったら、みんなするんじゃないか?なんか、知らない街で見る窓の明かりから、「ここに住んでたらどういう感じなんだろ」ってふと考えたりするあの感じ。そういうのって結構あるあるだと思うし、あるあるすぎてシャーデンフロイデみたいにそのことだけを表す専門用語とかにもなってると思う。調べてないけど。
何度か最初のボスでやられてやり直しているうちに、ゲーム内のメインクエスト以外に、各ランごとに何か自分なりの目標や方針とかを立ててやらないときついんだろうなと思った。例えば、マップを全部探索してできる限り強化するとか、そういうのを毎回達成できているかとか、特定のマップの特定の敵の組み合わせに対応できるようになるとか、そういうなんか PDCA とかを回してかなくてはいけない。
こういう、プレイヤースキルに応じてプレイ体験が著しく異なってくるようなジャンルをゲームが得意な人が好むのは理解できる。ゲーム以外の趣味でも、個人のスキルの上昇やそれに費やした時間に意味があると信じていそうな人は良く見る。これは実際正しいと思う。そりゃ趣味なんだし、主観的な評価以外を持ってこられたら頭がおかしくなる。
でも、自分はどうしても、単なる妬み嫉みなんだけど、自分の知らないとこで盛り上がりやがってみたいなしょうもない気持ちが湧いてきてしまうのを抑えることができない。こういう、努力して辿り着いた人間しか味わえない経験がある、というものに選民主義的、あるいは排他的な印象を受けてしまう。だからこそ、こういう訓練や時間が必要な趣味に鼻白んでしまう気持ちをできる限り減らしていきたくて、あえてこのゲームをやってみたけど良かったと思う。
- チャプター2が始まるとき、地球に帰還して63年生きていた(と思ってた)後でループしたのはちょっとウケちゃった。そんなん狂うよ。
- あと、コメントでちょうどいいくらいのアドバイスをもらえたから割とサクサク進めたのもあったと思う。有名なゲームだとこういうこともあってありがたい。
- シシュポスの巨塔は死ぬまでにはやりたい。