Sea of Stars
面白かった
普通に面白いけどこのまま昔のRPGあるあるをなぞってるだけで終わるのかなと思い始めてていたところで、ちょうど二つ目の世界が出て来たり、そういう盛り上がり所が期待していたタイミングでやってきて、ゲームプレイ全体のペースが丁寧に計算されている感じがした。
実際は昔のRPGのノリそのものってわけじゃなくて、ところどころ、特にキャラクターとかがいまどきの感覚に合わせて調整されているのもあって、受け入れやすくなってる感じがあった。昔のゲームのキャラって今見るとあまりに色々と露骨過ぎてなんか見てて苦しくなるときあるし。
戦闘も楽しい。とくにボス戦はブレイクを狙って行動順やコンボ技のプランを練るのが楽しかったし、うまいこと決まるとゲームが上手になったような気分になった。
ブレイクするために様々な属性で攻撃しないといけないし、戦闘中にいつでもパーティメンバーを切り替えられるのもあって、いろんなキャラの技を自然に使うようになるのも良かった。
めちゃめちゃどうでもいいけど、味方だけでなくボスや雑魚敵のアニメーションとかもすごい凝ってるから、ブレイクしてしまうと敵の必殺技が見えなくってしまってちょっと残念みたいな気もした。
プレイ開始から5時間くらい(レイス島まで)はパーティやスキルも特に変化がないんだけど、結構タイトなバランス調整されてるから、慣れるという意味でもこれでちょうど良い気がした。
ただ、レイス島に到着した当たりで、パーティメンバーが変わったり、スキルも増えたりするんだけど、そこでもぐっと難しくなるような感じはなく、全体的に見ても難易度的には山場はなく一定というか直線的に難しくなっている感じがした。山場がないというと悪く聞こえるけど、一方では予想可能で対処しやすく、レベル上げ作業とかも必要ないから良い面もあると思う。
道中の雑魚戦に比べてボスがそれほど強く感じない気がする。というか雑魚戦のほうがきつかった。雑魚敵は基本的に攻撃力が高いうえに、ボスに比べて行動パターンにランダム性があり、一回のミスで一気に瀕死になる傾向がある。
ボス戦はなんらかの初見殺しギミックを持ってる場合が多いから、雑魚敵と同様に通常攻撃のダメージが高いと初見で対応しきれなくなるし仕方がないと思うけど、単純に雑魚に比べて食らうダメージの数字が小さいので、見かけ上あまり強さを感じられなかった。
ある意味、道中もボス戦も初見でなんとかなるレベルで調整されていると思うし、良いバランスなんだと思う。
個人的にはRPGのボスが初見殺しギミックを持っているのは好き。
これも戦闘に深みがあるというか工夫できる要素が多いことの裏返しだと思うんだけど、究極技やコンボ技は試す機会があまりないから、ダメージソースとして使うかブレイクするために使うべきかあまりわからないままクリアしてしまった感じがある。ラスボス戦も、「なんかもっとうまくできたかも」という気持ちを抱えたまま終わった。こういうRPGで、ボスラッシュや2週目を始めなくても、もっと気軽にボスと再戦できたらうれしい。
音楽が結構すごくて、本当にSFCあたりのJRPGの、名曲だけでなく、あまり顧みられない曲まで再現されているという印象だった。悪口とかではなく「現代でも通じる名曲」って感じがしない曲もあることで、当時の曲をそのまま聞いてるようですごく懐かしい気持ちになった。こういうのを狙ってやってるとしたらすごい。実際狙ってるんだと思うけど、それを感じさせない緩さもある。
個人的に昔のゲーム音楽に抱いている印象としては、かっこよくも美しくもないかもしれないけど絶対的に楽しいというのがあって、その感覚にちょうど合っていたと思う。
あと、効果音のリアルな臨場感と比べて、BGMのSFC(メガドラ?)風の音源が浮いてるから、古臭さが際立っているように感じたのもある。
特に航海してるときの曲が好き。あとプレイしたときは前作(Messenger)ネタというのを知らなかったけど、氷河山の曲も全然毛色が違って笑っちゃったくらい好き。
ホイールズは、確率要素が絡んでくる割に上振れを感じることがあまりない。結局、その時々で欲しい出目が結構戦略上決まっているから、狙ってる種類の目以外でいい目が出ても戦略が崩れる気がする。逆に欲しい目自体は、三回回せばそれなりに出るし、一つずつ出目を固定できるのもあって、あんまり確率で得した気分になることがない。逆に相手の出目が悪いこと(というかAIのミス?)で助かることはあった気がする。
運用素があるゲームは嫌いじゃないけど、相手の悪運を祈るのは、受け身と受け身の掛け算で相当むなしい気持ちになるから、どちらかといえば自分の行動が豪運で最高になるようなやつの方がいい。
結局、ホイールのレベルが上がってからは魔法使いで火力の押し付けをするだけで勝ててしまった。
翻訳は、プレイしているうえで違和感あるところは全然なかった。
ただ、後で調べて思ったけど、ベ=スト(B'st)はビー=ストの方がしっくりくるのでは?究極技の Altered B'st は獣王記(Altered Beast)のパロディらしいし。なんか権利上の理由とかでベ=ストにしたんだろうか。
コンボ技のXストライク(X-Strike)も、英語版のクロノトリガーの「エックスぎり」そのまんまの名前らしいし、日本語でもそのままで良かったのでは?でもなんかそのまんま使うのは出版社も違うし色々ダメそうな事情とかあったりするのかもしれない。
最後に開発者(?)の自分語りが聞けて良かった。こういうお約束だらけのRPGを、単なるサービス精神だけでなく、本当に開発者自身が好きだと思って作ってると感じられたから。
- プロローグが終わった時点でガールが加入するんだけど、ガールのステータスがずっと修行してきた主人公たちと遜色ないのちょっと笑っちゃった。それだけガールが特訓してきたことの証でもあるけど。
- ホーキンスの顔がどうなってるのかわからなかった。アートブックを買えばわかるのか?デジタルアートブックにはホーキンスの絵一枚もなかった。
- 氷河山に入ったときのBGMのイントロでなぜか笑っちゃった。
- ガールが余命のフラスコを求める寸前にレシュアンが(今!ほら!あれのこと言って!)みたいになってるのとか見てて、全体的にレシュアンの立場をあんまり理解してないのもあって、「もう全部言っちゃえよ!」と思うことが結構あった。
- 本当に最後の最後だけど、キャンプ中にセライが「この錬金術師たちちょっとダメじゃない?」っぽいことを言ってくれてなんかうれしかった。というかパーティメンバーの中でセライが一番好きかもしれない。
- この辺のレシュアンとか錬金術師の話は、discord とかでやってた ARG とか設定資料とかに詳しく書いてあるらしい。あと同じ会社の Messenger ともつながりがあるらしい。ちょっと壮大過ぎる。
- 悲嘆に棲まうもの戦まで四天王のスリーとセライを同一人物だと思ってた。なんか偵察に行くといった後に出てくるし、無口そうだし二刀流だし。エルリナとブルガバスの企みも、なんか目が座ってるなとは思ってたけど、全然気づかなかった。
- ところで四天王の名前あまりにそのまま過ぎない?そういう凝った名前つけないあたりに滅私奉公の感じが出てるのかもしれない。
- 四天王戦はしっかり強くて面白かったし、こいつらと諍いに棲まうものが合体するって聞いてわくわくしてたけど、最後シューティングになったのは正直ちょっとがっかりしたかも。
- 棲まうもの戦は全体的にあんまり大変に感じなかった。というかセライの錯乱がつよすぎて、とくに棲まうもの戦だと至点の戦士以外はサポートに専念できるから錯乱撃ち放題だった。
- 自分はムーメランの天才なんじゃないか?と思ってたけど、他の人も大体同じくらいの回数できてた。
- レシュアンとかゴリラ大母とか、自分は初見なのに登場人物のみんなが「当然ご存知ですよね?」というノリで会話が進むので、「なんかイベント見逃してたっけ?それとも前作関係のネタ?」という気分になることあった。実際その世界では有名な話なんですよという仄めかしがゲーム中にあったけど自分が見逃していただけかも知れないが。
- というか、攻撃技のモーションがほぼすべて正面と背面とで2種類ずつあるってすごいね