Sephonie

Sephonie

Steam

セフォニーが衝撃的な影響を受けたという人間たちが、ゲームを進めるうちにある意味ごく普通(というか現実に生きていそうな人たち)の人生を送っていたということが分かっていくのは、何かすごく来るものがある。
そして、初めて人間を知ったセフォニーは、それを「普通の人生」としてではなく、きわめて特別なものだとして受け止めたというのがなんか、ベタだけど良いよね。

それにしてもセフォニーは、ある世界の神としても、コンタクトの対象としての知性的存在としても、割と未熟というかどこか間抜けで愛嬌があり、もし自分の世界に神がいるんだとしたら、こういう不完全な存在の方がしっくりくる感じがある。ゲームとしても、そういう「不完全な神」の概念をポジティブにとらえている雰囲気があり、そこが好きなのかもしれない。

結局我々の世界もセフォニー島と同じく混沌であり、そんな混沌とした世界に神がいるとしたらそれは不完全で未熟な存在だろうし、でもそのことを出来る限りありのままとらえようとする態度に希望を見つけようとしているのかもしれない。

よくわかってないけど、人間以外の生物に人生を認められることが承認欲求とかの最終形態なのかもしれない。宗教とかも、人間を超越した存在と約束を交わすことで、人生の意味を得るようなとこもあるし。多分。
そういう神的な存在を人間と同じような形態で描くのは都合良すぎだろという話も昔からあるけど。まあいいじゃん。このゲームでは一応、ONYXによる意識の共鳴により人間のイメージをセフォニーが受け取ったという理由付けがあるし。

身近で現実的なバックグラウンドを持っているキャラクターたちが奇妙で外の世界から乖離した無人島に囚われている様や、学術的な用語で説明されるまるで童話のキャラクターのようなセリフを話す原生生物など、なにか微妙な、対立とも呼べないようなものが、特に解決されずただそれとして存在するのは、ある種のユートピア的世界でもあるのかも。

エイミーの内省で出てくる「この宇宙では、少なくとも今日だけは、自分が選んだエイミーを信じなければならない。」という考え。本当にそうだよなと思う反面、人生をかけてそんなロールプレイをしてる人をみるとちょっと一歩引いた目で見てしまうところがある。

奇妙なローポリのクリーチャーがたくさんいるのは楽しい。
基本的には Anodyne 2 と同じシステムで、3Dプラットフォーマー部分が強化された代わりに、各クリーチャーごとのステージがシンプルなパズルになっている感じ。
3Dプラットフォーマー部分は、自分が下手な部分もあると思うけど、なんだろう、まあたった二人で3Dアクションを作るのは難しいと思う。

エピローグの COVID の影響を強く受けた展開(やクレジットでの外出規制中の写真とか)は、つい1,2年前のことなのに、なんかすごい昔のことのように感じた。ゲームのようにワクチンが開発された時点ではっきり解決というよりは、(ワクチンの普及や治療法の確立はじわじわと進んでいくものだから当たり前なんだけど)なんとなくヌルっとみんなそこまで気にしなくなっていったように変わっていったせいで、その辺の時間の感覚が曖昧になっているのかもしれない。そもそも外出規制とかなくてもあんまり外出てなかったし。実際、自分の場合は、外出規制のおかげで外に出ないことで生じる罪悪感に対する免罪符を得たような感覚が、身勝手ながらも正直あった。

  • 音楽がすごい好き。
  • クラッグフルーツツリー(樹)が「ツリー……ツリー……」って鳴くのが良かった。
  • 3Dプラットフォーマーをたった2人で作るのは大変なことですよ。
  • リィヨウの記憶で出てくる寂しい爺さんのことを思わずにはいられない。
  • 3人の育ちが良すぎるというかちょっとあまり知り合いにいない階級に住んでる人という感じがして、同じ人間だしいくらか共感できるところはあるけど、なんか知らんなあと思ってしまうことも正直たくさんあった。