シルバー事件

シルバー事件

Steam

なんとなくかっこよさそうな雰囲気はあって次の展開も予想できないけど、各章がぬるっと終わっていくので、最初のほうはつかみどころのない感じがした。それぞれの事件では、最終的に結構大層なことが起こっているわりに、そういう場面でもわかりやすく盛り上げるような演出をしない感じがハードボイルドっぽいというか、このゲームの個性的でかっこいい部分なんだろうなとは思った。なんかそこは生まれつきのセンスじゃないけど、ちょっと自分とは育ちが違うような感じがした。

ミクモ村の話は面白かった。でもこれは金田一少年の事件簿とかであっても違和感ないし、なんかこれがシルバー事件特有の個性的な話かといわれると違う気もする。最後大爆発するのは面白かった。

UIとかのセンスは独特でかっこいいし、古さもそんなに感じなかった。ところどころ実写の演出が入ったりするのも、PS1時代の流行りっぽいなと思ったけど、ここではほとんど違和感なかったし、解像度が荒いのも雰囲気に合ってる気さえした。まあ、こういうセンス自体が当時の青年漫画とかの流行りだったのかもしれないけど。あんま90年代の漫画とかアニメとか通ってきてないから、自分は雰囲気が似てる漫画は多重人格探偵サイコくらいしか思い出せない。あとは、アニメのGTOのオープニングとか?

終盤まではずっと、主人公とカムイ(というかFSOとかの組織)との因縁が、あんまり個人的なレベルに落ちてこないので、ずっと他人事感がどことなくある。カムイはあくまでリパブリックや凶犯課にとっての敵みたいな扱いでしかなかった。しかも無機質的な表現のUIや低血圧な演出のせいもあって、クライマックスに向けて盛り上がるような感じはあまりない。まあ、そういうゲームがあってもいいとは思う。

そんなこと言ってたら、最終的に主人公の出生も含めて、上に書いたような因縁にかかわる話や、モリシマとの関係なども含めてごっそり回収された。投げっぱなしになるんじゃないかと不安だったから、違和感なくすっきり回収されて嬉しかった。でも、謎解きが最終章に全体重乗っかってる感じもあり、巧妙に隠されてたというより、説明がそもそも少なかったらつかみどころがなかったという感じもしなくもない。全体的に謎解きのヒントは一切ないけど、伏線だけは大量にある。

全然関係ないけど、知らん人に出されるクイズってすごい苦手かもしれないと、ヒカルくんの事件での100問ノックで思った。飲み会とかで初めて会った年長者から急に知らん話の意見聞かれたときみたいに。なんかあの、今自分が「出汁」に使われてるわ、みたいな感じ。ああいうところで点数を獲りに行くのをみっともないことだと思ってる。本当に社会人か?中学生の考え方じゃん。

トランプになぞらえた4人の凶悪犯罪者はさすがにかませ感が過ぎる。あれ何の意味があったんだ。

なにとは言わないけど、比べると Hypnospace のインターネット描写ってよくできてたんだなと思う。時代も違うししょうがないとは思うけど。今時だったらたぶん AI とか進歩が速いものをフィクションに登場させると陳腐化しやすいんだろうな。