シルバー事件25区
正義の白ハゲ刑事
大学生くらいの兄がいる友達の家に遊びに行って、特にやることもなくなったときになんとなく本棚にあったマンガを読んでいるような懐かしい雰囲気がある。
前作と同様に、中身のないサスペンスになぜかずっと引っ張られてしまう奇妙な魅力はあった。犯人や真相が気になるというか、「この話がどう面白くなるんだろう」という興味でサスペンスが継続しているような気がするのは、それはもうサスペンスではないんじゃないか。サスペンスってなんだ?
真相は気になるけど、あまりマジにならずに読めるのは、登場人物すべて(含意された作者も含めて)ほとんどだれも信用できないからかもしれない(最近『批評理論入門』を読みました)。誰がどうなっても、どうでもいいから一番めちゃくちゃな結末になってほしいという期待が膨らんでいく。そして、ちゃんと期待を超えためちゃくちゃな展開が待っている。
何の思い入れもないネットの有名人の炎上まとめ記事読んでる感じにも近いかもしれない。
高校生のころに漫喫で無為な時間を過ごしている感じ。全てがどうでもよく、自分の未来のことも他人の気持ちも大して気にしていないくせに、このままではいけないが何もできる気がしないという自分勝手な無力感が、破滅的で捨て鉢な行動への引力となる。それを仮想的に解決してくれる暴力的でドライな物語に逃げ込むしかなかった。そういうモラトリアム期の空虚な心にちょうどぴったり埋まるのかもしれない。実際のところ、どうせ何もないんだからなんでも埋まるんだけど。
そういう当時の感覚に一気に引き戻されるような力強さは持っている作品だったような気がする。
自分を重ね合わせてみてるだけかもしれないけど、さみしいおっさんの試し行動ないし、突っ込み待ちユーモアみたいなのはやっぱ見ていて辛くって、ななめ読みで読み飛ばしていないときつい感じは前作と一緒だった。でもこれがマンガとかだったら、ちょっと勘弁してほしいノリの会話とかも別に気にならないのかなと思った。ノベルゲームはどちらかというと、というかノベルってついてるし、小説とかに近くって、細かい言い回しの一つ一つにも集中してみてしまうんだなと思った。ジョジョ3部のアニメを見たときに、どうでもいいセリフとかも一字一句ちゃんと喋られるとなんか妙に間延びしているというか、ちょっと聞いてられないかも、みたいになった記憶があってそれと似たようなものかもしれない。
- この感想は最初の3時間くらいだけやったときに勘で書いたものですが、最後までやっても特に追記することはなかったです。
- これ以上のことを書くには、時代的にどれだけ先鋭的な設定とかそういうのがあったか、みたいなところに踏み込んでいかないといけない気がするし、そういうのって大変そうですよね。