UltraNothing
底なしのペイン

パズルの傾向としては個人的には割と好きな部類で、300問を超えたあたりからだんだんとハマるようになってきた。
使わない要素も含めてたくさんの選択肢を画面中に出すことで混乱させてくるパズルが多いけど、大抵のステージは最短距離でゴールに向かう方法を考えると割と解法が思いつく、というか、いつの間にかクリアしていることが結構ある。
一見複雑だけど順番に解体していくことでいつの間にか解けているような問題や、逆に上手いこと破壊するような単純な解法で解けてしまう問題もある。解法のバリエーションも多く、問題の順番もバラバラなのもあってどんどん解法が複雑になっていく一方ということもなく、最後まで「ちょっとズルする方法」みたいなのを考えていけば解けてしまうのが個人的にすごくハマったところかもしれない。
全体的な雰囲気に関しては、皆さんが Steam のレビューなどに書かれているのと同じように、「そろそろなにか起こるんじゃないか?」という期待感を持ったまま、謎にあふれた世界で、平均して見れば割とちゃんとした難易度のパズルをやり続ける、そんなゲームだった。
- UIの操作方法からわからず、そもそもこれが何をするゲームなのか理解するところ
- Milkseal の最後でスキルが新要素として表れたところ
- Gorrf で Guardian が解放されて操作キャラクターが増えたところ
- Bottleneck で敵対キャラクターが出てきてターン制ストラテジー要素が出てきたところ
大体この辺が山場だった(記憶違いがあるかも)。そう考えると山場の多いパズルゲーム……なんだろうか。虚無の感情のままパズルをクリアし続けてる時間が多かったし、プレイ時間を考えると密度はそうでもないかもしれない。
Milkseal まではちょっと退屈というか、なんで自分はこんなゲームやってんだろうなという気持ちを抑えることができなかった。そんな Milkseal を超えたところで急な追加要素として謎のスキルが出てくる。それにより興奮がもたらされたというよりは、静かな解放感に満たされた気持ちになった。
スキルだけではなく、デジタルガーディアンの登場による謎のターン制ストラテジー風要素など、くじけそうになるタイミングで新しい要素が追加される。自分は何を期待してこんなパズルを解いているんだっけ、という気持ちにうんざりしてきたところで「もう少しやってみるか……」となる。なんかギリギリのところで行ったり来たりしている感じ。
でも変じゃない?こういうパズルゲームって普通、ずっとただパズルをクリアしていくだけじゃん。パズルをクリアしても次のパズルがあるだけ、とくにアップグレードアイテムとかはなくステージごとに与えられたスキルだけで解かなくちゃいかない。自分の能力を超えて上達が加速するような仕掛けはない。そういうのはこれまでやってきたパズルだって同じはず。
このゲームが特別プレイヤーにストレスをもたらす要素は(一目見ただけでも)たくさんある。特に序盤のパズルからいわゆる Red herring と呼ばれるような、解答に無関係な要素だらけ(明らかに無関係すぎてひっかけにもなっていないようなものも)。どこかパズルゲームのアンチパターンを敢えてやっているような気さえする。しかもゲームオーバー画面などUI要素も意味不明で、パズルの難易度とは無関係なところで非常にストレスの係る要素が大量にある。
これはパズルの「本質」とは無関係のところでその難易度とかアクセシビリティを悪化させているように感じられて人によっては(お前はどうなんだ?)不快な要素になると思う。でも、パズルゲームの本質的な難しさって何なんだって考えると、そこに厳密な決まりなんて、今のところは無いし、時にはプレイヤーに対してフェアであろうとする姿勢が行き過ぎて、都合よくコントロールされているようにすら感じるときもある。この微妙な隙間に本当の意味でゲーム開発者とプレイヤーの対等な関係というのがあるのかもしれない。
このゲームは荒唐無稽なガワの裏に(というかそれも含めて)、パズルゲームの難しさってどこまで「本質から外れて」もいいのかにチャレンジしているようなゲームなのかもしれない。このチャレンジというのは、リミットを超えてめちゃくちゃやってるというよりは、ギリギリ嫌にならないレベルのところを探っているような、なんか見た目とは真逆の繊細さを持っているのが一番奇妙に感じた。
実際、QLOBあたりからは新しいマップ要素のルール推測なども楽しくなってきて、これってずっと面白いパズルゲームだった気がしてきた。あるいは自分の脳が Ultra Nothing に合わせて調律されてしまったのか。苦行ゲームじゃないけど、なんでもやってれば慣れてきてしまうものなんだなと、そういう気持ちになれるゲームかもしれない。
- 道中、「お前が期待してたのはこれか?」って感じで良い意味で悪い吹っ切れ方をしたNPCが出てくるのは、悪い意味で良かった。
- 自分が『February 2003』に期待していたものがこのゲームにあるような気がした。なんか、自分しか理解できないゲームを見つけたような。こういうのなんなんでしょうかね。選民思想?それとも、人間のエッジケースを確認して安心したいという気持ちがある?