Void Stranger
なんかすごかったなという
基本的には床のタイルを入れ替えてすすむ倉庫番系のパズルゲーム。だけど、一手戻ったりはできないし、面をやり直すためには残機を消費する必要がある。残機が切れても続ける方法はあるがそれを選択すると真エンドをあきらめることになる。そのおかげか、倉庫番系ゲームなのに一手のミスが命取りになるような感覚があり、他の同ジャンルのゲームではあまり味わったことのない独特なゲームになっているとは思った。
パズル自体は基本的な面ではそれほど難しくはないがヒントや説明は少ないため、ある程度仮説を立てて試行錯誤する必要がある。これは何度かやり直すことがほぼ前提の難易度調整になっていることでもあり、これと残機制限要素が組み合わさるとそれなりに苦行ではある。そしてマルチエンディング(というか真エンドを見るための条件が複雑)であり、エンディングまでの1回のプレイがあまりにも長い上に、繰り返しプレイしてもパズル自体にランダム性があるわけではないので、この残機制限要素が本当に他の要素と噛み合っているのかはわからなかった。
中でも自分が辛かったのが、繰り返しプレイ時に得られるパーマネントアップグレード要素に気づきにくいことだった。このゲームでは残機が切れたときに 「Give up」 を選択すると最初からやり直すことになるのだが、その際に、残機が無限になるといったのパーマネントアップグレードが手に入ることがある。ただ、1ランが長い性質上そもそもその要素自体に気づくまでの時間が人によって差があるように思える。特に自分は一度残機が切れたあとに悪魔と契約して Void (残機が実質無限)状態でクリアしエンディングを見て、その後また1階から再開し、今度は残機を切らさずにクリアを目指した。こうすると一度も「Give up」を選んでいないため、アップグレードが手に入るタイミングを逃してしまう(自分で読み返しても何言ってるんだ?という感じだけど)。
アップグレードを手に入れるには1度エンディングを見て1階から再開した後に再度残機を切らす必要がある。自分の場合はこの仕様を知らずに残機0で死にそうになるたびにリセットしていたので、この機会を10時間以上逃すことになったのは結構きつかった。ある意味おとなしくゲームオーバーになっていればよかったということなのかもしれない。
アップグレードの種類の中にはイナゴ(残機)無限などがあり、ずっと残機を気にかけながらプレイする必要はないようなバランスにはなっている。ゲームをやり直すときにパーマネントアップグレードが開放される仕組みから、なんとなくローグライクっぽいなと思った。自分はこういうアップグレード要素があることに220以上あるレベルを2週クリアしてやっと気付いたし、それには時間にして15時間以上かかった。
上で書いたような理由もあって、プレイしている最中は結構大変なゲームだなと思っていた。なんというか、初見で縛りプレイをやらされているような辛さがあった。自分が英語を曖昧にしか理解してなかったせいでゲーム中にあったかもしれないヒントを見逃していたという自業自得のような原因もあるかも。
そもそも人によってプレイ体験が全く異なるタイプのゲームを最初から目指してデザインされているんだろうなとは思う。比較するものでもないと思うけど、なんか Fez とか Tunic や Witness とかは、同じような意図がありながらもある程度プレイヤーが自ら仕組みに気づけるように丁寧に調整されていたのかもしれないと思った。単なる自分とゲームの相性かもしれないけど。
0st Ranger までクリアしておそらく最後までやったけど、なんかすごいゲームだなと思った。ボリュームもそうだけど、知らん90年代の名作アニメみたいなよくわからないけどやたら壮大なラストシーケンスとか。自分の趣味にめちゃくちゃハマるわけではないけど、これを一番好きなゲームだと思う人がいたとしても理解できる。ボリュームに関しては、色々と知らないうちは何度か同じパズルを100問以上解かされることになるから、それでかさ増しされているようにも思えるけど、まあ40時間以上やっていたらしいし結構すごいと思う。
クリアした直後では倉庫番系パスルゲームとは思えない妙な高揚感があり、正当な評価がしづらいところがあるかもしれない。いわゆる hype と表現されるような、中身は見えなくとも盛り上がってるのはわかるといった感じは、開発者があえてそういうものを作ろうとしてやっていると推測できるし、その感じも含めてこのゲームの良いところなんだろうなと思う。なんかずっと自分でも何書いてるかわかんないな。多分すごいゲームだと思う。