Who's Lila?
Lila よりも William や Lawrence の方が何者かわからない感じある
主人公の表情筋を一つずつ動かして、TPOに合わせた表情を作り、作った表情によってストーリーが分岐するというあんまりやったことないタイプのゲーム。
それだけでも一発ネタとして十分面白いんだけど、それ以外に、「なぜこんなにも表情を作るのが難しいのか」というプレイヤーの素朴な疑問に対して、ゲームの仕組みとストーリーの両方から納得感のある答え(一解釈ではあるけど)が用意されているように見えて、すごく満足感の高いゲームだった。
ストーリー上は、そもそも主人公はサイコの殺人鬼だったから社会通念と照らし合わせて適切な表情がわからない、という理由付けが比較的序盤に出てくる。こういうのはホラーではは割とよくある、「だからあのときあんなグロいことしてても、主人公は全然平気な風だったんだ」という要素だけど、割と自分はそういうの好き。そういうある意味ホラーゲームではベタな結末を踏襲しながら、悪魔(的存在)が人間の体を動かしているから人間らしい適切な表情が分からなかった、という仕組みで、ゲームの操作方法とストーリーが繋がっていて面白かった。
さらに、プレイヤーが表情を作ろうとしても勝手に顔面の筋肉がプルプル震えてしまって意図した表情が作れないことがある(というかほぼ作れなくない?)。これも、ゲームで敵対キャラクターを無理やり操っているとき、スキルレベルが低いと思い通りに動かせないというちょくちょくあるゲームの仕組みを思い出した。その、すぐに例を挙げられず申し訳ないですが。
つまり、ホラーとゲームのそれぞれのあるあるがうまいこと一つの要素でつながって、それがストーリー上の重要な謎解きになっているように見えて、オタク心のようなものをくすぐられている感じがした。
ゲームを進めていくと出てくるARGのような謎解きを進めて、10種類以上あるエンディングを開放していくと、いろいろと情報が分かってきて、結局どういうことなのかが分からなくなってくる。そもそも William はもともと表情を作るのが苦手だった、とか、Lilaは割かし頻繁に William と入れ替わってた、とか。上で書いたような推測は間違っていたような気がする。
最終的には、このゲームそのものが「Lila」の作った解決されないミステリーを詰め込んだ、ある種呪いのゲームのようなものという解釈もできるようになっていて、そういう楽しい仕掛けがゲーム全体にちりばめられている。絡まった糸が綺麗にほどけたように終わるので逆に心には残らないかもしれないが、様々な謎解き要素のおかげでエンディングや別ルート収集の最後まで飽きずに楽しめる良いゲームだと思った。
自分の場合は、明らかにサブクエっぽい、Father Lawrence 関連の謎解きを先にやってしまったのもあって、ちょっと想定と違う順番でやってしまったかもしれない。学校にすらろくに行ってなかったので最初の方は「せっかく面白そうな顔面操作の要素があるのにこれ全然使わないの?」と思ってた。
後から追加された謎解きの補助要素 (DAEMON) のおかげで別エンディング側のルートも進めやすくなっていて、逆に迷いやすくもなっているのかもしれない。ちゃんとゲーム中にタスクリストがあるんだし、そこに表示されているところから優先的に進めていればいいんだろうけど、初見プレイで周回のしやすさとかが分かっていないときは、先に探索してできる限りサブ要素つぶしたいと思ってしまうのが人の性なんじゃないか。どうなんですか。
別エンディングは普通に一人でやっていては気づかないような謎解きになっているので、こういうのはリアルタイムでみんなでわいわい攻略しているときが一番楽しいんだろうなと思った。
- ゲーム中現実の Twitter アカウントから謎解きのヒントを得なくてはいけない場面がある。itch.io のコメントでブラジルの人の「twitter がブロックされちゃったんだけどなんとかならないか?」という書き込みがあって、たしかに現実のWebサービスを使った謎解きってそういうことが起こり得るんだなと思った。